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質問に本気でこたえてみた!「無数の起承転結」

2016年8月14日 (日)

ブンブン ハローココログ!

さて、小学生のみんな向けということを忘れて

超真面目に答えてみるこのコーナー。

第1回で打ち切りの予感がプンプンするっスけど

「もっと本格的な説明をしてください」と、見学にきた方に言われたので

一度試しにやってみるっスよ

 

実は、「これを聞かれると本当にこまる!」という質問がひとつあります。

それは…「どうすれば面白いストーリーが作れますか?」

というものです。

 

この質問にたいする答えは、 

無数にある ともいえるし、存在しない ともいえます。

 

ただ、ここでは、キノコの考えるひとつの面白さについて

解説します。今回はちょっと難しい内容っスよ!

 

今回の内容は、まんがでは解説しづらいので、

(解説できるほど引用してしまうと、問題があるので)

キノコが最近読んだ本

I AM ZLATAN ズラタン・イブラヒモビッチ自伝」から文章を借りて解説します。

 

みんな知らないかもしれないけど、ズラタンといえば

サッカーのスーパスター。

色々な問題行動で知られているけど、彼の書いたこの本は

「人と同じじゃなくていいんだ。普通じゃなくたっていいんだ」

という子供たちへのメッセージを含んだ 素晴らしい自伝なので

皆も機会があれば読んでみてください。

この本は、単なる自伝に留まらず、物語として非常に優れています。

 

その中の一番笑えた一説を引用します。

 

【以下引用】

時々、黒のベンツの女、ヘレナを見かけた。「ただ見てるだけじゃ我慢できないぜ。なんとかしたいぞ」。それで知り合いから彼女の携帯番号を教えてもらった。まずは彼女に携帯メールを送ったよ。「やあ、元気? 時々、街でみかけるよね」。そして最後に「赤いフェラーリの俺より」と書いた。彼女は返信してくれたんだよ。最後に「黒い車のわたしより」って書いてあった。「何かが始まりそうじゃないか……」。俺は期待したぜ。

 

(シーロック出版社 「I AM ZLATAN ズラタン・イブラヒモビッチ自伝」148Pより引用。ズラタン・イブラヒモビッチ著  沖山ナオミ訳)

【引用終了】

 

 

解説をすると、「ヘレナ」というのはズラタンの後の結婚相手っスよ!

 

この自伝そのものは、

「ズラタン=主人公」という一人の人間の半生 全体についてかかれています。

だからまず、「主人公がサッカーをはじめてから、いかにして成功したのか」

というのが大きなストーリーであり、それに対する起承転結があります。

 

その中で、その一つのエピソードとして、

「どのようにして、パートナー(ヘレナ)と結婚に至ったのか」

というエピソードがあるワケです。

いわば、全体の大きな「起承転結」の中で、「承」のうちのひとつにあたります。

 

「ヘレナとの結婚」エピソードの中において、

今回引用した部分は、2人の出会いを描いているので、

「起承転結」でいえば、「起」の部分にあたります。

 

なのですが、この「起」のエピソードの中に、「彼女を見かけた→番号を知った→メールをしたら→彼女から返信が来た」という、さらに小さな「起承転結」があります。

もっといえば、そのあと「何かがはじまりそうだ」といっているので、「起承転結起」といってもいいっスね。

 

この「ヘレナへのメール」は、「ヘレナとの結婚」を描くために絶対必要ですが

「ヘレナとの結婚」も、「ズラタンの人生」において、

主人公を変化させた一つの出来事として 欠かせない物語として登場します。

 

言い方を変えれば、小さな起承転結は、それより大きな(重要な)エピソードを

進めるために存在していて、関係しあっているということです。

 

つまり、ひとつの会話、ひとつのエピソードそれ自体に、

小さな「起承転結」が成立していて、それが更に大きな「起承転結」に

繋がっていると、一見脱線しているようなシーンでも読者は

興味を持って読めるから、

物語全体にドラマが生まれ、面白いストーリーになります。

 

前回の作品紹介で、「4コマでも、全体にストーリーがほしい」といいました。

実はそれと同じようなことを、今回解説しているのですが、

ややこしく言えば、こういうことになります。

 

この「起承転結」がないエピソード、

もしくは、更に大きな「起承転結」に繋がっていないエピソードが、

まんがの中に入ってくると、

「無駄」「テンポが悪い」「読者の興味から逸れてる」「要素が多い」「内容が分からない」

といった批評を、まんがではされてしまうことになります。

 

また、この「小さな起承転結」が足りないと、

「エピソード不足」「魅力不足」「なんで好きになったのか分からない」「楽しくない」

といった批評につながってしまいます。

 

全体の起承転結にとらわれ過ぎず、

すべての言葉や出来事が、より物語全体のテーマを進めているストーリーが

面白いストーリーではないかと キノコは考えています。

 

もちろん、このエピソードが面白く感じられる前提として、

「主人公(ズラタン)のキャラが面白い」(普通の人がしないことをカッコつけてやっちゃう!)

「主人公に興味がもてる」「主人公がかっこいい」

ということがあるのはいうまでもありません。

 

大きな全体のストーリーは、しっかり作ったはずなんだけど、

なんか面白くない。

そんな時は「小さな起承転結」を意識してみたらどうでしょうか?

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