作品紹介(4)「春待ちクリスマス」
2016年12月31日 (土)
さようなら2017!!
今年最後の更新…いきますよ~~!!
今回紹介するのは、
咲良すずさん(小6)の
「春待ちクリスマス」という作品です。
【あらすじ】
中学2年生の原まりなは幼なじみの大地に、
静かな片想いをしていた。ところが大地が急に
転校すると告げられて大ショック!
その上、何をしても完璧で可愛いライバル・結舞が大地に
猛アピールをはじめ、イブにデートをすると言い出して…
咲良さん、何種類ものトーンを使い、人物を華やかかつ立体的に
描写するトーンワークが凄すぎです!!
よく、まんがの批評で「のっぺりした印象」もしくは「立体感がない」
という文章を見かけますが、この言葉は具体的には、
・「トーン・ベタによる、黒と白の立体感」→つまりは、シャドウ(影)とハイライト(光)の差が少ないか、あるいは表現されていない
※「差」というのが重要っスよ!
・コマ割の問題。アタリ(大きさ)のメリハリや、他のコマに重なる等の立体表現がない
・人物にアクションがない
この3つが理由のことが多いです。
咲良さんの画面作り、キラキラ&立体感で凄すぎ
さらに、背景のクリスマスツリーで場面転換をしたり、
大きな絵のあとにギャグ絵を入れたりと、
「出来るだけ絵で説明しよう!」と考えて描かれていることが伝わってきます
漫画スクールでも即、通用するまんが力です!!
ここを頑張ろう!というポイントはキャラクター。
実は、3人の登場人物の中で一番存在感を発揮していて、かつ
キャラクターが濃かったのは、ライバルの結舞。
結局、主人公と大地はイブの3人デートを通して付き合うことになるのですが、
結舞は、そのあとでも主人公に100点のテストを見せびらかしつつ、
主人公に大地にフられたことを打ち明けて、「安心してよ」と告げます。
この徹底的な悪役っぷりは素晴らしい!
キャラクターがしっかりできている証拠だと思います!!
ところが、デートで頑張るのも、大地をデートに誘ったのも、
アピールしたのもすべて結舞で、結局のところは、
大地が最初から主人公を好きだったから主人公と付き合った
という展開になっています。
そうなると、逆に結舞がかわいそうに…
「大地、好きでもない子とイブに遊ぶのはなしでしょ」
という、読者の怒りの声が聞こえてきそうです
ライバルが頑張るあまり、後から見返してみると、
主人公やヒーローよりライバルの方が頑張っている
という状態は、実はプロのまんがでもよく起こります!
(少年まんがでも、よくあるっスね!)
確かに主人公からすればイヤなやつで、悪い奴だけど、
悪役は自分のことを悪だと思っていません。
自分は正しいことをしているんだ!何が悪いんだ!…
つまり、自分を正義だと思っています。
だから、「敵」にあたるキャラクターばかりを動かすと、
主人公たち味方サイドのキャラクターが薄くなってしまいます
主人公のアクションで物語を動かすように考えてみましょう!